Nmoominのブログ

日々の記録を主に

週末、パリ探訪

 

「来週末パリいかない?」

突然そう言われたのはイギリスに旅立つ直前だったと思う。せっかくユーロスターで行ける近いところにいるし、そう誘ってきた彼ももうすぐヨーロッパを離れてしまうから丁度いい機会だと思い快諾して、行くことにした。

 

出発は金曜日の夕方、セントパンクラス駅に向かうと週末に大陸に旅立つ旅行者で駅はとても混雑していた。

セキュリティーチェックと出国審査を抜けて待合室に出るとものすごい人混みで、座るところを探すのが大変だった。まだ時間があるしと思ってカフェでビールを飲んで時間を潰す。こちらのビールは5ポンド前後で500ml飲めるので日本と比べ大変オトクである。

ユーロスターは車内にカフェがあるのは別にして新幹線と同じような乗り心地で、気づいたらいつの間にかパリに着いていた。

 

早速誘ってくれた彼と合流し、ホテルにチェックイン。夕飯を食べたレストラン兼バーでほとんど英語が通じず、フランスに来た実感を得た。

 

 

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翌朝は気持ちいいくらいの快晴で、観光日和である。同行者がオペラ座の怪人の大ファンで、ぜひオペラ座を見たいというのでまずはオペラ座があるガルニエ宮へと向かう。

 

 

フランスはよく親日国で日本文化好きが多いと言われるけれど、たしかにそうだと感じたのは地下鉄のアナウンスにフランス語と英語に続き日本語のアナウンスが入ることと、やたらとキリンビールの広告が貼ってあったことだ。

   

他にはやたらSF漫画(ゲストに日本人多数)のイベントの広告があったのも印象的である。

 

そんなこんなで地下鉄に揺られること20分程度、目的のガルニエ宮に到着。

 

 屋上にそびえ立つ巨大な黄金の彫刻がとても印象的だ。

中身はというと、さすが世界三大劇場と言われるだけである。荘厳、豪華絢爛という言葉がこれほどまでに似合う建物は他にあまりないだろう。同行者は憧れのオペラ座に来れたことに大興奮のようで、サウンドガイドを片手に一人探検へと繰り出した。

この上の写真の大階段はオペラ座の怪人で有名なマスカレードが演奏される場面のモデルになったところである。沢山の観光客がせわしなく記念写真を撮っていた。

 

さて、劇場の座席の方まで見学ができるようであるので、早速中へ入ってみると漫画や映画でしか見たことがないクラシカルで立派な内装がお目見えである。

 

 区画ごとに区切られたボックス席は特別感が感じられ、なにか秘め事が行われるような、そんな神秘的な雰囲気さえ醸し出ていた。ひときわ目立つシャンデリアの奥に描かれた天井画は、どうも画風が現代的すぎると思っていたが、やはり1964年にかきなおされたもののようである。

オペラ座の怪人に出てくる、あの特等席ボックス5番席も実在し小窓からではあるが中を覗き見る事ができる。夜にオペラやバレエを観劇に来れば実際に座れるのだろう。ファンにはたまらないのかもしれない。

 

入る際にせっかくなので夜オペラを見たいなと思ってチケットの列に並んでいたら『椿姫』の当日券(もちろん見切れ席)が10ユーロで売っているではないか!多少見えなくても音楽が聞ければまぁいいだろうということで即決で購入。夜が楽しみになる。

 

 

さて、そんなこんなでオペラ座の見学を終えた我々は昼食をとり、次の目的地凱旋門へと向かう。

 

そのまま向かっても良かったのだが、凱旋門を真正面に見ながら歩けるというのでコンコルド広場から歩くことにした。 

当の広場は非常に開けた気持ちのいい場所で、凱旋門に向けてきれいなほど一直線に道路が伸びている。凱旋門に至るまでの歩道は綺麗に区画整備されており、歩いていてなんだかパリ市民になったような気分にさえなる。

 

地図では近いように見えた凱旋門までの道のりも、実際に歩いてみると結構遠かった。コンコルド広場から見ると分かるのだが、ちょっとした坂道になっておりそれも疲労を増す要因になったと思う。

 

そしてようやくついた凱旋門

その巨大さに圧巻されるばかりで、初秋(こちらではすでに初冬か)の澄んだ空によく映える。

凱旋門の周りは車道で囲まれており、近づくためには地下トンネルをくぐる必要がある。これに気づかずに車道を突っ切ろうとしていたのは今考えるとかなり命の危険があった。

 

上に登るチケットを買うのに並び待つこと数十分、ようやく階段を目の前にするが目の前には気の遠くなるような長い階段が待ち構えていた。

他のヨーロッパの歴史的建造物と同じように、古くからある建物にエレベータなどあるはずがない。ので仕方なく目がまわりそうになりながらひたすらに階段を登って中腹の休憩所にたどり着く。そこでは売店やトイレがあり、どうやらエレベータも本当はあるようだった。(足腰の悪い人用だそうである。

 

ようやくたどり着いた屋上からの眺めは、格別である。凱旋門から放射状に伸びた町並みを360度一望できる。

 

 こうしてみるとエッフェル塔の存在感がすごいことが分かる。凱旋門からの眺めが存外に良かったのでわざわざ登らなくても、とは思ったがとりあえず次はエッフェル塔に向かうことにする。

 

 

凱旋門の周りはパリの中心街といった感じでブランド店やレストラン、映画館が集まる華やかな通りだったがエッフェル塔の周りにくるとあからさまなくらいに観光地である。それはつまり、怪しげなお土産を売りつけてくる黒人の集団と、謎の手品のようなパフォーマンスをやっている集団が大量に蔓延っているということだ。

 

 

エッフェル塔の入り口まで行ってみるが、すごい行列である。このまま並ぶと夜のオペラに間に合わなさそうなのでエッフェル塔は断念する。まぁ凱旋門登ったし、エッフェル塔のパクリの東京タワーには登ったことあるし…と思いなおす。

 

急いで地下鉄に乗り込み再びのオペラ座。今度は昼間に閉じられていた正面入口から堂々と入る。というかオペラを見に来るなら昼に見学に来る必要なかったんじゃないかという気もするけど、まぁ旅というのはそういうものだ。

 

あてがわれた席は、ほぼ舞台下手の真横に位置するボックス席の二列目。なるほど、前の人と隣のボックス席の人の頭で結構舞台は隠れそうである。

 

ドキドキしながら待って、ついに公演がスタート。

ん、舞台に大きく鎮座しているスクリーンが光りだしてインスタを流し始めた???これは宣伝かなにかか???と思っていると舞台が回転しだし、パーティー会場の場面。みんなきらびやかなドレスタキシードをきている???ここは21世紀???椿姫って19世紀の話じゃなかったっけ??と頭に?が無数に浮かんでいると乾杯の歌が流れ出す。

ますます混乱を極める頭だったが、落ち着いて曲に集中する。

 

そんな調子で頭に?が浮かんだまま第1幕が終了し休憩となる。同行者もあれ?となっていたようで、調べるとどうやら今年の椿姫は舞台設定を現代に移した新版のようである(https://www.doitinparis.com/en/spectacle-opera-garnier-24715) 

 

なるほど、オペラ座もいかに顧客を掴むかということに必死かがわかる。演出にオーストラリア人の映画監督Simon Stoneを起用して再構成されたのがこの作品らしい。

背景の巨大なスクリーンを上手に使って登場人物の心理描写やSNSでのやりとりを移すなど物語をよりわかりやすく面白く伝えようというが制作側の心意気が伝わってくる。

でも主人公のヴィオレッタが高級娼婦からいわゆるインスタグラマーのパリピになってしまったのはあまりピンと来なかった。

 

まぁどういうからくりかがわかったので第二幕以降は腰を落ち着かせて見ることができた。もうとにかくオーケストラの演奏が素晴らしく、それ以上にヴィオレッタ役のソプラノの歌唱が最高であった。ヨーロッパの本場の超一流のオペラをたった10ユーロで見ることができたなんて、それこそ夢のようだ。

 

 

昼間はよく見なかったオペラ座正面の壁を終演後よく見てみると著名な音楽家、例えばハイドンモーツァルト、ベートベンらの彫刻が彫られていることがわかった。ちょっとあくどいなぁと思ってしまったのは内緒である。

 

一日中歩き回り夜にオペラまで見れば体は疲れ切っていて、ホテルに帰るとすぐ寝てしまった。翌日は昼のユーロスターでイギリスに戻ることになっていたのと、疲れからから少々寝すぎてしまったようで時間があまりとれそうになかった。じゃあ近くを散歩するかと思って歩いていると、実はホテルのすぐ近くのモンマルトルの丘があることが判明。

 

モンマルトルの丘といえば、映画『アメリ』で主人公が丘の上で密かに某考え事をすることで有名なところである。あいにくその日の天気は曇天だったが、どんな景色が見えるかワクワクしながら丘へ向かう。

 

 

この丘の上に立つのがサクレ・クール寺院。丘からの眺めでも十分に見晴らしが良かったが、あの上からみたらどんなだろうかと思い早速登ってみることにする。が、凱旋門のときと同様長い階段を登る羽目になった。むしろこちらのほうが寺院ということでより設備が旧式な分苦労した。またしても目が回りそうになりながら階段を登ると、やはり上からの見晴らしは抜群であった。

モンマルトルの丘、という名前から分かる通りこの寺院が立っている場所は標高が結構高いようで、エッフェル塔凱旋門よりも高い位置からパリ市街を一望できるようだ。惜しむらくは天気があまり良くなかったことで、晴れていたらなお一層抜群の眺めだったろう。

 

 寺院の壁には観光客が記念につけたと思われる落書きが沢山あって少し閉口した。日本人が書いたらしきものもちらほら見つけた。

そうしているとタイムリミットが近づいてきたのでパリ北駅へと移動してパリ訪問は終了。帰りのユーロスターではイギリスへの入国検査があるのだが、ヒースローと同様にここでも日本人ならeゲートで通過できる。とても便利である。

 

二日間のパリ観光を振り返ると、他にも行くべき観光地は沢山あるためまたパリそしてフランスを訪れたいと思う一方で、パリに住みたいとはあまり思わなかった。

というのも、まず当たり前だが英語が通じづらい。初日に夕飯を食べたところでは英語を喋れる定員は一人だけで、その彼の英語もかなりおぼつかなく注文に苦労した。

これはまぁフランス語を覚えろよということになるけれど、もうひとつ気になったのはフランス人は皆自由で時間の流れ方がちょっと違うと感じたことである。主にお店の接客のことを指しているが、途中寄ったスタバでは店員が知り合いの客とずっと話しながらドリンクを作っていて順番をすっとばしたりかなり提供に時間がかかっていた。水出しコーヒーなんて保存していたコーヒーを注いで氷入れるだけなのに10分くらいは待ったんじゃないかと思う。レストランで会計を頼んでもいっこうに請求を持ってこないということもあった。

あとは夕方地下鉄に乗ったとき、どこかのサッカークラブの少女たちが、試合帰りだろうか、興奮して電車内にもかかわらずスピーカーで音楽を大音量で流しながら歌い踊っていた。結構車内が混んでいたのにコーチの人も注意せずにずっと踊っていた。ちょっと前にtwitterで話題になった、ラグビーの試合終わりの京王線で興奮し暴れていたフランス人たち動画のことを思い出した。