Nmoominのブログ

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2019年2月に見た映画まとめ

今月は、中旬に出張がありその準備で忙しかったので、毎週映画館に行くことは叶わなかった。 だが、Netflixと合わせて4本見れたのでよかった。後実は某日に試写会にも行ってきたのだが、守秘義務があるためここではコメントしないでおく。

来月、再来月とアカデミー賞関連映画の公開などもあるし明日からも積極的に映画を見に行きたいと思う。

では、今月見た映画をまとめよう。

1.映画館にて

ジュリアン

julien-movie.com

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ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞、また『万引き家族』も受賞したセザール賞を獲得した作品で、DV夫から母親を守るため必至に生きる息子ジュリアンの話。

上記に貼った予告から察した雰囲気では両親ともについている親を知っているジュリアンがキーとなるサスペンスもの…?

と思ったら全く違う話であった。誤解の原因の一つに邦題『ジュリアン』が一役買っている気がするのだが。

その実は、予想した意味とは違う意味でサスペンス。BGMを使わず不安を煽るような環境音と、各登場人物の視線にフォーカスしたカメラワークは観客をドキドキさせるのに十分だ。 父親のしつこい脅しに耐え続けるジュリアンの描写は痛々しく、華やかなパーティーシーン(ここのカットはどれもとても綺麗で美しい!)でも、ジュリアンの家族らのどこか不安げな面持ちには物語の行く末がうまくいかないことが暗示されている。

このように社会派サスペンスな映画だと一見みえるのだが、その予想をさらに上回るのがラストシーン。ここで描かれる怒涛のホラー的展開は凄みがあり、それまで意図的に静かに作られた画面が爆発する様は圧巻。

時限爆弾がカウントダウンをはじめ、爆発に至るまでを描いたような作品である。

ちいさな独裁者

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第二次世界大戦末期、敗戦濃厚なドイツでは兵士の脱走とそれに伴う付近の村における略奪行為が頻発していたそうである。 主人公もそんな脱走兵の一人。

冒頭、軍から脱走した彼を酒を飲みラッパを吹きながら車で追いかけるドイツ軍たち。まるで狩りを楽しむかのような象徴的な始まり方で、戦争末期のドイツ軍の状況を端的に説明している。

命からがら逃げ出した主人公が偶然見つけたのがドイツ人将校の制服。ここから彼の人生は狂い出す。

たまたま通りがかった上級兵を手下に引き入れた彼は近くの村へと乗り込み、早速将校のフリをし始める。もともと機転が利くのだろう、多少の葛藤や恐怖の描写もあるが、基本的には大胆不敵に身分を偽り手下を増やし(酔っぱらいの一人は明らかに彼の正体に気づいている風であるが)行動していく。

次の滞在先である、犯罪者収容所では法律を無視し彼も同類である脱走兵や盗人たちをユダヤ人収容所ばりに処刑していく。ユダヤ人ではなく、同胞であるはずのアーリア人も容赦なく殺す描写を通じて、彼が完全に変容してしまったことが浮き彫りにされる。

その後も彼は勝手に自身の名前を冠した"親衛隊"を名乗り、白旗を掲げた市民を殺害し所持品を略奪、泊まったホテルでは乱痴気騒ぎを繰り返したりと傍若無人の限りを尽くす。

今作品の監督は「 彼らは私たちで、私たちは彼らだ。過去は現在なのだ。」 と述べているが、劇中では権力のシンボルとして制服を用いることでその威力とそこに吸い寄せられる人間の暗部を躊躇することなく切り取り描いている。 驚くのは、この映画が実話を基にしていて、主人公の脱走兵はなんと齢21歳という若さだったそうである。なんと大胆不敵なことだろう。

エンドロールで彼ら親衛隊が現代ドイツの街で暴れる演出は、「帰ってきたヒトラー」を連想させる。 現在のドイツの政治情勢(保守派の台頭)を考慮した上で、こうした演出の映画が一つと言わずでてきたというところにドイツ映画人らの危機感の現れを感じた。

女王陛下のお気に入り

www.foxmovies-jp.com

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主演のオリヴィア・コールマンがアカデミー主演女優賞を獲ったことが記憶に新しい。自分が見に行った日が、まさしくオスカーの発表の日だったこともあるのか、映画館はほぼ満員だった。

18世紀、フランスと戦争中にあるイギリスの王室の話。

気まぐれな性格の女王アンはその側近サラに公私とともに頼りきっていた。 そんな折、親戚の伝手で没落貴族のアビゲイルが宮中にやってくる…というあらすじ。

女王をめぐる、女性3人の愛憎関係に1秒たりとも目を離す暇はない。相手をいかにだしぬくか互いに策略を巡らせながら、気まぐれな女王はその様子すら楽しもうとしている。女王役のオリヴィアコールマンはまさに怪演であり、一度見た時から脳裏にその姿が焼き付いて離れなくなってしまうほどである。

エマストーンのさらりとした表情の中に隠れた悪女の演技には思わずニヤけずにはいられない。彼女の作品は色々見ているけど、今作の演技の振れ幅は素晴らしく彼女の違う魅力を見せてもらった。

イギリス宮中の煌びやかな部分も、醜悪な部分も人間の欲望というものをたっぷりと描いている良作である。 ラストシーン、気丈に振る舞うサラとそれと対照的に空虚な目をしたアンとアビゲイル、そして無垢なウサギたちの対比はまさに諸行無常である。

2. Netflixにて

ROMA ローマ

www.netflix.com

各地の映画賞をかっさらっていき、ついにはアカデミー賞でも外国語映画賞を始め3つの賞を受賞した作品。

ローマというとイタリアの話かと思うかもしれないが、舞台はメキシコの高級住宅街にある"ローマ"という場所。そこに住む白人家族の家で住み込む家政婦が主人公のお話。

カメラが6Kの非常に高性能のものを利用しているにもかかわらず、あえてモノクロで撮られている。非常に画角が広くほとんど一貫して俯瞰的に、ゆったりと動くカメラワークの中で登場人物たちの生活を非常に写実的に切り取っている。ワンカットワンカットがまるで静物画を見ているような美しさを秘めている。 彼らの地続きな生活をずっと見ているような、そんな感覚に陥る。

役者はほとんどが素人らしい。それらを逆に生かして撮影はアドリブを多用しながらすすめられたとか。こことカメラの使い方の相性がいい。

話の流れは、登場人物、主に家政婦の主人公が直面する問題や不条理とどう向き合って人生を紡いでいくかということが中心。 家政婦として働く主人公の機敏な感情を見事に画面上にすくい取っていて鑑賞後の余韻が心地よい。

こんな上質な映画がNetflixで見られるなんて、贅沢というべきか。でも映画館のスクリーンもぜひともみたい。アカデミー賞をとったら、どこかでかからないだろうか、と思っていたら本当に取ったので期間限定でいいからやってくれないだろうか。

2019年1月に見た映画まとめ

勝手に今年の目標の一つに月に最低4回は映画館に行って映画を見るに設定したので、目標の到達確認と備忘録を兼ねて毎月見た映画をまとめて記録していきたいと思う。

今月は2週目まで海外に行っていて、そもそもスタートが遅かったこともあって映画館で映画を見たのは3回になってしまい、早速目標が達成されないこととなったがトータルでは6本見れたのでペースとしてはいいのではないだろうか。

1. 映画館にて

マチルド、翼を広げて

映画『マチルド、翼を広げ』公式サイト

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精神障害を持つ母親とその娘マチルドの親子の愛情を描いた話。

何気なしに見る映画を選んだので、予備知識なしにみたら、突然フクロウが喋りだしたので驚いた。

マチルドの母は既に離婚しており、精神障害を持っているが故に孤独である。一方のマチルドはというと、そんな世間的にみたらキテレツな母親と一緒にいる、ということで学校のクラスメイトからはいじられ孤独である。

孤独同士の親子がお互いに懸命に生きていく、そしてその間を繋ぐ存在としてのフクロウが物語を進ませていく。

途中挿入されるマチルドの作り話と思われる、童話的で幻想的なシーンが物語と彼女の深層心理を暗示しているとともに非常に詩的でフランス映画らしい。

フランス映画らしさ、といえば主役のマチルドのファッションがオシャレすぎる。9歳とは思えないほどのセンスの良さだった。 本編とは全く関係ないが、途中ある小学校の学芸会で歌う合唱曲がとてもプーランクっぽい和音と進行で、こんな難しい曲を小学校でやるのか、と思った。エンドロールを見ると、どうやら本当にプーランクの曲だった。

A GHOST STORY (ア・ゴースト・ストーリー)

映画『A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー』公式サイト youtu.be

幽霊が主人公の映画。 妻と二人で暮らす男が交通事故で死んだあと地縛霊となり元住んでいた家に住み着いて時を過ごしていく話。

特徴

  • 画角がユニークで、アスペクト比が4:3かつ画面のエッジが丸くなっていてレトロな雰囲気。
  • 構図と色彩感に非常に監督のこだわりが感じられる。シンメトリックな構図、彩度少し落としめのフィルムカメラの質感。
  • セリフが非常に少なく、画で魅せる映画である。(長回しでウトウトしてしまったけど

非常に幻想的な話なのだが、死んだあとも妻のことを思い孤独に過ごす主人公の幽霊が切なすぎる。

彼女との思い出が詰まった家から出ることもできず、新たな人生を選んだ妻を追うこともできず、新しく入居してきた家族には半ば八つ当たりをする。

しまいには、幽霊にもかかわらず辛くなったのか投身自殺を図る。ここで奇跡が起きたようで幽霊の思いは時を超え、その思念は過去へと遡る。

ここで、冒頭の家で起こる怪奇現象の謎が明かされるわけだが、そうして時を超えた彼はようやく最後にやすらぎを得ることができたことは救いである。

非常にアートで見応えのある映画だった。

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterfly

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言わずもがな、な大人気PCゲーム・アニメの劇場アニメである。

学生の頃、多分最初にオタク仲間にそそのかされて『空の境界』を読んでから、奈須きのこにハマっていったのが懐かしい。原作のゲームも寝る間も惜しんでプレイしていたような記憶がある。

今回は、3人いるヒロインいるうちの桜がメインのルートで、一番エログロ描写やストーリーが激しく賛否両論が分かれる話である。

原作から家庭用ゲーム機に全年齢版として移植する際、上記の描写が当然ながら修正されるわけなので、今回の映画はどうなるのかしらと思って見に行ったら、意外とそのままに描いていてよかった。(とはいっても原作をやったのが過去の彼方なので正直あまり覚えていない。

劇場版ということで、制作に相当のお金と時間がかかっているのが分かる作画である。中盤の戦闘シーンのグリグリ動くカメラワークは流石の迫力。もはやエヴァだった。

あとは、中盤の雨が降る中抱き合うシーン、実写ドラマや映画のような構図でありながらアニメにしかできない動くカメラワークが面白かった。

さて、最終章は来年の春。どちらのエンドになることやら。

2. Netflixにて

消されたヘッドライン

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もともとはイギリスBBCのサスペンスドラマで、それのハリウッドリメイク。

ある日発生した殺人事件とその直後に起こった女性の自殺事件が徐々に結びついていき…という推理サスペンス。

主人公は警察ではなく新聞記者。ラッセルクロウのくたびれた中年男性の演技は貫禄たっぷりである。

時間を経るごとに、巨悪が明らかになっていき…とどんどんスケールがアップしていきスリルも増していく中、まさかのオチには消化不良感が否めない。

例えば、さらなる巨悪が明らかになり事件は解決とは程遠く…の方が後味が良かったと思う。 レイチェル・マクダミアスがかわいい。

わたしは、ダニエル・ブレイク

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現代イギリスの暗部を深く抉り出したケン・ローチの渾身の作品。

彼は病気に蝕まれたのではない、国家に衰弱させられていったのだ。

シングルマザーと彼女の子供との交流を機に生活に僅かながらの希望を見出していくダニエルと観客に残酷な現実が突きつけられる。

私達が普段使うコンピュータ、インターネット、SNS。そんなものとは全く無縁の主人公は情報弱者であり社会的弱者。 決して日頃メディアがすくい上げることのない彼らの現実を正鵠に射るこの作品は現代民主主義国家の社会福祉制度にそびえ立つ壁をありありと描写している。私達は決してそれから目を離してはいけないのだと訴えかけてくる作品。

アメリ

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とってもキュートなフランス映画。 アートな側面も強いが脚本はそこまで破綻しておらず、楽しんで見れる。

伏線の回収やカットのつなげ方が少々唐突だったり分かりづらい部分もある。

赤や黄色など暖色系の色を多用していることも、シュールな内容にもかかわらず画面から暖かくほのぼのした雰囲気を出す要因か。

幼い頃から引きこもり空想の世界に生きてきた主人公が、今度は他人の幸福を手助けするようになるが、自身の幸せとなると奥手になってしまい… という乙女な描写が可愛すぎる。

スパルタ指導で評判の英会話学校『NCC英語学院』に行くことにしました:経緯

久しぶりに日記のようなものを。


大学院生になってからというものの、英語を使う機会がいきなり増えた。研究室には外国人の研究者も当たり前のようにいるし、セミナーも当たり前のように英語で行われる。論文を書くのももちろん英語だし、国際学会などに参加した時には発表も英語で行う。


まぁ、そのような状況になるのは薄々と感づいていたわけであるが、英語が元来苦手な自分はその事実が目をそらし続けてきたように思う。


これまでは苦手なりのつたない英語でなんとか乗り越えられてきた。海外に行った時も、向こうはこちらのひどい英語も嫌な顔ひとつせず聞いてくれた。
そんな折、英語を真面目に勉強しようと決意する一つの出来事が起きる。


あれは、7月中旬、アメリカはプリンストンを訪れていた時のことである。
週末に手持ち無沙汰になったので街にあるカフェでコーヒーを飲みながら作業をしようと思いたった自分は宿舎近くのカフェへと向かった。
その日は気温25度くらいで湿気は低いが暑い日だったのでアイスコーヒーを飲みたい気分だった。カフェのメニューには、期間限定でコールドブリューを提供しているとの文字が。
アメリカの水出しはどんなものだろうと気になったのでコールドブリューを注文してみる。
店員に"Cold brew, please."と言う。

店員、困惑。

どうやら通じていないらしい。再度言う。

また、困惑。苦笑いされてします。

この時点でかなり精神をやられていたが、上記の問答を5回はくりかえしたと思う。


最終的に、恥を捨てて天井に掲げられたメニューを指差し"This! This!"ということでことなきを得た。


この時得た教訓をまとめよう。


大学や研究所、学会などでは評価されるのは英語ではなく科学的な内容である。どんなに拙い英語でも内容が気になるのでネイティブも耳を傾けてくれるし、議論に参加してくれる。
しかし、それはアカデミックの中の話。
そこから一歩でも外に出た瞬間に事情は全く異なってくる。街の人達は我々をお客様だと、見ていない。対等に英語で話せる人にならねばならないのである。


たかが、カフェの注文一つで、と思うかもしれない。しかし、これは意外に重要である。例えば卒業後海外でポスドク等になり生活することになった場合、カフェで注文を通すのが困難なのに満足した日常生活を送れると考えられるだろうか。いやない。



こうして、真剣に英語力を鍛えようと決心に至ったわけだが、どうやって伸ばすかが問題になる。
英語を勉強しなければならない、という問題意識は高校生の頃から現在に至るまである。大学受験のために相当に勉強したはずだが、一浪して受けた英語二次試験は現役のときよりも点数が下がった。
入学後も各種資格試験のために勉強しようと参考書を買ったはずが、英語よりも数学や物理のほうが大事と言い訳をしてほとんど手付かずのままホコリが被っている。


やはり、自らの意思でやることが難しいことは、外部から強制的にやらされることがある程度は必要なのだ。
そうして英会話学校を探すわけだが、どれも大体胡散臭い。大体、外国人とFree chatして英会話が出来るようになるわけがない。少なくない外国人との交流経験からして金の無駄であることが分かっている。


そうして見つけたのが『NCC英語学院』である。

www.ncc-g.com

上の公式HPを見てほしい。もうなんだが逆に一番胡散臭い。2000年代初頭にタイムスリップしたかのようなHPである。


しかし、書いてあることは真っ当で、インターネット上の評判も中々いい。 どうやらスパルタ指導が売りらしく、大量の宿題と熱血指導で英語力をそこ上げるという感じらしい。


しかし、あまりにも情報が少なすぎる。授業は一体何をするのか?膨大な宿題の正体とは…? 


このままでは埒が明かなさそうだったのでエイヤと説明会に申し込むことにした。


ドキドキしながら西新宿にある校舎を訪れる。偉い先生が来て丁寧に学校について説明してくれるが、凄いことはわかるのだが一体何を行うのかぼやけている。大丈夫なのだろうか。


普通、ここで一度家に持ち帰って再度考え直すべきなのだろうが、先生の熱量と、質実剛健な古き良き予備校のような薫陶を感じた自分はためらうことなくレベルチェックテスト(入学時のクラス分けテスト)を申し込んでしまった。


…と本来はこの記事でNCCについての情報をまとめるつもりが経緯だけで長くなってしまったので詳細はまた別の記事でまとめることとする。

切なくも鮮やかに少女の葛藤を描いた『悲しみに、こんにちは』感想。

先日、うだるような暑さの中渋谷ユーロスペースにてある映画を見てきた。
邦題『悲しみに、こんにちは』というものだ。

なぜこれを見てきたかというと映画SNSのfilmarksで非常に高評価であり、レビューの一つに自分が好きだった映画の『ミツバチのささやき』のようだったというものを見たからである。

まさに夏にぴったりの、鮮やかな少女映画だった。
味わい深い作品だったのでちゃんと感想を文章として残しておこうと思う。




あらすじ


カルラ・シモン監督『悲しみに、こんにちは』予告

舞台は1993年、スペイン・カタルーニャ地方。母親が死んでしまったことで主人公のフリダはバルセロナから引っ越し親戚の叔父の家に引き取られることになる。
新しい家族や友達、近所の人達を一見問題なく受け入れたかのように見えたが、その心の中には葛藤を抱えていて…

幼くして母を"ある病気"でなくした少女が初めて故郷を離れて過ごすひと夏の物語。

眩しいほどキュートな子役達と美しい田園風景

映画は徹底的にフリダの視点から描かれる。それだけ主人公視点で画面が進むということは主役の演技が映画の出来を左右してしまうわけだが、この主人公フリダ役ライア・アルティガスの演技が素晴らしい。
早くに母親を亡くし、突然親戚の家に引き取られる、新しい生活へのどうしようもない不安と受け止めきれない悲しみを子役とは思えないほどの自然な演技で見事に演じきっているのである。純粋無垢な体に不釣り合いな、なんとも言えないアンニュイな感情を携えた瞳に胸を突かれっぱなしであった。
そしてそのように魅力的なフリダを撮りつづけたカメラワークもいい仕事をしているといえる。

それだけでなく、その義理の妹アナとの掛け合いの演技も非常にキュートなのだ。
大人のフリをして、ブカブカのブーツを履きマニキュアをチーク代わりにして化粧をしてごっこ遊びをする場面、もう最高にキュート!こんなにキラキラと子供らしさとおしゃれさを全開にしたシーンを撮れるのは監督の妙だろう。


カタルーニャ地方の美しい田園風景を存分に活かしたカットも印象的だ。 
雄大な緑に囲まれた一軒家での生活は見ている方の時間の流れもゆったりとしたものにさせる。

少女が体験する生と死、監督の記憶

本作の始まり方は非常に象徴的だ。 

バルセロナの友達とだるまさんがころんだで遊ぶ主人公。
鬼に近づいていくが、動いてしまい、鬼役の男の子に「お前は死んだ」と言われたところで花火が打ち上がる。
思わずドキッとしてしまうが、そこに生命の煌めきとその運命を印象深く観客に感じさせる。
この物語は主人公フリダが母親の死とどのように向き合うかという話であるが、それと同時に映画全体を通底するのはフリダが、そしてそのモデルである監督が、1993年の夏に学んだ生と死についての記憶だ。

映画の随所随所で生と死を想起させるシーンが挿入される。特に血が使われる。
カタルーニャの友達と遊んでいるときに転んでしまい血を流す場面。その血に触るなと友達がその母親に強い口調で諭す。ここと病院の検査のシーンから、母親の死因がHIVであることが示唆される。(直接言及されるわけではない。)
これはこの当時、ヨーロッパでHIVが流行し始めた事実を知っているともっとわかりやすいのだろう(自分は恥ずかしながら知らなかった。)*1

次は義理の母親の生理のシーン。使用済みタンポンをおくびもなく移すのは女性監督らしいかもしれない。少女がまだ分からぬ新しい生命を生み出す"女"に触れる。

そして最後は家畜のヤギを殺し解体するシーン。生きるために動物を殺す。フリダはじっと殺されたヤギから流れ落ちる血を見つめ続ける。生のための死もあるのだと知る。


上でも一瞬言及したが、この映画は監督であるカルラシモンが実際に体験したことを元にしている、自伝的な、非常に私的な映画と言えるだろう。そして驚くべきことに彼女はこの作品が長編映画を撮るのが初めてだったということ。
とても魂を揺さぶられる、素敵な映画だ。

映画『悲しみに、こんにちは』は現在東京はユーロスペースで上映中。その他の地域でもこれから上映開始の劇場がたくさん。
ぜひ夏のうちに見てほしい作品だ。

kana-shimi.com





SONYの最高級ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン『WH-1000XM2』を二ヶ月使用したレビュー

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先日SONYから出ているノイズキャンセリングヘッドホンの『WH-1000XM2』を購入した。二ヶ月ほど使用したので記録も兼ねてレビューを書いておく。結論から言うと大変いい買い物だった。




買ったきっかけ

理由は主に4つ。

  • 現在メインで使用しているスマートフォンアメリカから直輸入した『Essential Phone PH-1』なのだが、これには3.5mmステレオミニプラグが付いていない。一応変換アダプタがあるので有線のイヤホン・ヘッドホンも使えないことはないが、野暮ったく、取り回しが悪い。
  • 上述最後の取り回しにも関連するが、有線のイヤホンの持ち運びから装着・使用までのストレスがどう頑張っても解消されない。もっとストレスフリーに音楽を聴きたい。
  • 一時期中華製の格安無線イヤホンを使用していたがすぐに電池が切れる、もっと長時間使用したい、さらに欲を言うと音質にも気を配りたい。
  • 電車やバス、特に飛行機などの移動中はどうしても周りの雑音が気になる。のでノイズキャンセリング付きが好ましい。


以上より候補は自ずと絞られ、良く比較対象にされるBOSE製『QuietComfort 35』とSONY製『WH-1000XM2』の一騎打ちとなった。

何はともあれということで実際に家電量販店に行き両方を視聴、結果SONYの勝ちとなった。

WH-1000XM2の特徴

SONYの技術を惜しみなく使った業界最高クラスなノイズキャンセリング機能。パーソナルオプティマイザーを使うことで髪型やメガネの有無などを考慮し個々人に最適な設定を提供してくれるらしい。
さらに飛行機等では気圧の変化なども感知して性能を最適化

もちろんSONYなので音質にもこだわりがあり、mp3等の圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケールする「DSEE HX」機能を搭載。

さらに特筆すべきなのは連続再生時間最大30時間という長時間のバッテリー持ちだろうか。
ソニー SONY ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン WH-1000XM2 B : Bluetooth/ハイレゾ 最大30時間連続再生 密閉型 マイク付 2017年 ブラック

ファーストインプレッション

まず箱を開けて目につくのは高級感が溢れまくるフォルムだ。流石4万円弱のだけのことはあり、デザインにも相当気を使っていることがうかがえる。
少し懸念していた重さも、片手で気軽に持ち運べるレベルで問題ない。


開封した段階でヘッドホンの充電もほぼ終わっている状態だったので早速スイッチをオンにして装着してみた。
すると、自室の静かな部屋の中にも関わらず得られたのは今までの静けさという概念を上書きせねばならないような静寂。


この静音性にはとても驚いた。物音という物音がほぼ聞こえなくなり、まるで精神と時の部屋にいるかのような錯覚に陥る。
まるで某学習塾のCMのやる気スイッチを押すが如く、WH-1000XM2のスイッチを入れるだけでいとも簡単に集中した環境を目の前に作り出すことができるのだ。

2ヶ月使って気づいた良い点・悪い点

良い点

上にも書いたけれど、ノイズキャンセリング機能が非常に秀逸。これを付けるだけで集中モードに入る事ができる。空調や飛行機内のゴーッとした低音などはさっぱりなくなる。
ただ、言及しておくべきこととして人の話し声などはあまりカットされないのでクソでかい耳栓として使うことはあまりおすすめしない。(音楽を聴けば別)

特徴欄で書いた通り公表のバッテリー持ちが非常に長いが、実際に使って見てもそのバッテリー持ちを実感する。
1日数時間の使用をほぼ毎日繰り返してもこの二ヶ月で充電したのはなんと3回のみである。充電をする必要がないということがどれだけストレスフリーであるかというのを実感した二ヶ月だった。家を出る前にヘッドホンのバッテリー残量をチェックしたり、それに気を使いながら使用する必要がほぼ皆無なのはとても気持ちいい。

もう一つは、ワイヤレスということで取り回しが非常に楽である。首にヘッドホンをぶら下げておいて音楽を聴きたくなったらそのまま耳に装着して電源をオンにするだけ。コードが絡まったり、カバンやドアなどに引っかかることもない。以前よりもとても気軽に音楽を聴けるようになった。


音質も、そこらへんの安物のイヤホンに比べれば雲泥の差である。また、視聴して感じたことではあるけれどライバル機種のBOSEQuietComfort 35』が比較的ドンシャリなサウンドなのに対し、こちらは高音がスッキリと伸び切っていて女性ボーカルの曲などがとても心地よく聴けた。
AndroidもしくはiPhoneで音楽を聞く場合は専用のアプリをインストールすることで、アプリ上からイコライザーを設定することができる。このイコライザーも種類が豊富なので再生する楽曲によって使い分けも簡単にできて良い。

悪い点

まず、ヘッドホンという製品上しょうがないのだが、夏場は蒸れるため主に外で装着するのがためらわれる。機動性も考慮すると個別にワイヤレスイヤホンを買ったほうがいいかもしれない。
さらにつけ心地でいうと、試着した時には感じなかったが側圧が少し強めのようで長時間付けっ放しにしているとちょっと耳が痛くなる。まぁ聴力のことを思えばこまめに外しながら聴くのが妥協点としていいと思う。

使い勝手の面では、複数機種で接続機種を切り替えるのをヘッドホン上でもう少しラクにできるとよかったなと思う。
現状では、例えばスマートフォンに接続して音楽を聴いている時にiPadに切り替えて動画を見ようとした場合、スマートフォン側の設定画面を開いて接続を解除して次にiPadの設定画面から接続をする必要がある。
また本体の電源を切った時、最後にペアリングされた機種が保存されているようで、上記の状態で一旦電源を切ってしばらくしてからスマートフォンで音楽を聴きたくなった場合iPadを取り出して操作しなくてはならない。
せっかくヘッドホン単体で色々操作できる部分もあるので、これらの切り替えが同じように行えたらとても便利だと思う。SONYさん、ファームウェア更新待ってます。

後、Bluetooth製品あるあるとして、たまに接続が不安定になるのか音楽がブツ切れになることがある。接続する機種との相性?もあると思うがこれは我慢するしかない。今の所はそこまで気にはなっていないけれど。

総評

長いバッテリー持ち、一瞬で静寂を作り出すノイズキャンセリング機能、安定した音質と悪い点を遥かに上回る使い勝手のヘッドホンで4万円弱を出す価値しかない。
これを付けるか付けないかで生産性は大きく左右されるくらい重用するようになってしまったし、WH-1000XM2無しの生活はいまでは考えられません。
迷っているなら買うべし。

文献管理ソフト『Zotero』とiPadの連携を考える。

さて、前回の記事で文献管理ソフトをZoteroに移行したわけだが、この二ヶ月のところ特に問題なく運用出来ている。

ラブライブ!コラボキャンペーン

さて、現在自分の論文周りの環境は以下の通り

  • (家)デスクトップPC-論文収集、サーベイ
  • XPS13-同上
  • デジタルペーパー DPT-S1-論文精読用
  • iPad(2018)-論文流し読み、メモ書き用

DPT-S1とiPadの使い分けが難しいところだがあまり突っ込んではいけない。

まず全ての環境で論文のpdfを同期したいため、クラウドサービスとしてBoxを使う1Zoteroとの連携については一つ前の記事を参照。

nmoomin.hatenablog.jp

これでおしまい、といけばいいのだが残念ながらZoteroにはiPad向けの公式アプリが提供されていない。のでこの代替手段を考えなくてはいけない。

一応、Zotero対応を謳うアプリとして『PaperShip for Mendeley & Zotero』があるが、このアプリをZoteroで使うとクラウドとの同期で問題が起こることが分かっている。(参考URL:ちゃんと使えるような名前を付けておいて使えないとはなんともヒドイ。)

PaperShip for Mendeley & Zotero

PaperShip for Mendeley & Zotero

  • Shazino
  • 仕事効率化
  • 無料

じゃあどうするかというと、今論文のpdfは全部Boxで管理していることを思い返せばBoxのアプリを使うのが一番無難な解決策として浮かぶ。

検索性が落ちるのではないか、と思うかもしれないがpdfの名前を適当にリネームしておけば著者名かタイトルのキーワードで割と対応出来る。

さてiPadでも自分の書庫の論文にアクセスして読めるようになった。最後にせっかくapple pencil対応のiPadを買ったのでこれでガシガシ論文に書き込みを出来るようにしたい。

残念ながらBoxのアプリではpdfの閲覧までは出来るが手書きによるアノテーションには対応していない。

iPad用の主要なノートアプリはクラウドとも連携しているので自分の好きなアプリと連携すればいいが、個人的にはアプリと連携するとノートアプリ上でのpdfが見かけ増えて管理がややこしくなるので却下。(論文pdfと手書きノートは別々に管理したい。後移行したときの整理がめんどい。)

代わりにiOS11で追加された公式のファイル機能を使う。これはクラウドサービスとも連携しているのでBoxとの連携をオンにする。するとBox上のディレクトリがiPad上で見えるようになるし、pdfももちろんapple penを用いてアノテーションを入れることが可能。 なんとも素晴らしいのが、こうしてiPadから論文に入れた書き込みが即同期されるためPCで見ていてもすぐに論文への書き込みが反映される。でこれはzoteroと紐付いているため、PC上でzoteroからpdfにアクセスしても書き込みが反映されているというわけ。素晴らしい。

ちなみにDPT-S1も論文に書き込みが出来るのだが、この時の同期が一方通行という問題点があるので、2つを並行して使うと問題が起こりそうな気がするけどここでは見なかったことにする。SONY頑張ってくれ。

問題点はBoxにフル依存しているためネット環境がないとそもそもファイルにアクセスが出来ないことが、このご時世そんなことにはまぁ滅多にならないので大丈夫であるはず。

こうして頑張ってiPadで論文を読み書きする環境を構築したのだが、個人的にはあの液晶を長時間凝視するのがやっぱりしんどいのでちゃんと読むときはデジタルペーパーを使っているというのが最初に挙げたとおりの現状である。

apple pencilの書き心地は素晴らしいのでメモやノートを取ったり手計算をするのが主なiPadの役割となっている。

おわり。


  1. DPT-S1はクラウドと同期するためにはwebDAVを使わないといけないのでBoxという選択になる。詳細はググれば出てくる。

文献管理ソフトを『Zotero』に移行した

新年度である。

これと言って生活に変化があるわけではないけれども、節目ということで身近なものを見直して部屋の模様替えをしたり寝具を新調した。

同じ様に院生に取って身近な存在である文献管理ソフトだが、環境を変えたいなぁとここ一年くらい思っていたのでこの機会に思い切って移行した。

今まで使っていたのは『ReadCube』で、これも中々使いやすいのだけど細かなところで不便があった。

まず自分が文献管理ソフトに求めることを挙げると、

  1. 文献情報と論文のpdfファイルが紐付けられて、異なる環境でも同じ情報を参照できる
  2. グループ分けやタグを使って論文を分類できる
  3. pdf及びメタ情報の読み取りが容易にできる

ことである。

『ReadCube』を長らく使っていてここが不便だなぁと思ったのは

  • ソフトのビューワーが貧弱(hyper linkが機能しない場合が多い、読み込みが非常に遅い)
  • ソフト付属の論文サーチ機能が微妙(これは主にGoogle scholarのせい)
  • webクリッパーで論文を読み込むときもメタ情報抽出に失敗することが結構起こる

2番目について、ReadCubeのサーチで使えるエンジンはPubMedもしくはGoogle Scholarのみなのだ。自分の専門分野的(数理)にPubMedは使わないし、Google Scholarは目当ての論文をピンポイントに出すのが難しい。INSPIREもしくはarXivから検索できたらめちゃくちゃ便利だったのに。

さらに細かくいうと、webクリッパーで読み取ったpdfは最初クラウド上にいくため読もうと思ったらまたローカルに落としてこないといけないのがだるい。*1

『Mendeley』については、単に文献情報をしまっている書庫としてのみ使うならばまぁまぁ使い勝手が良さそうなものだが*2、書庫の内容が増えると同期が非常に重くなるので使う気になれないのだ。

というわけでどうしたもんかと思って他のソフトを探していて良さそうだなと思ったのが『Zotero』。 Win、MacLinux全てに対応していてサードパーティーのアドオンなどが使えてカスタマイズも効くのも良し。 詳しくは下のブログにとても詳しく紹介してあるので見て下さい。

文献管理ソフト Zotero ~紹介編~

文献管理ソフト Zotero ~ 設定編~

移行も『ReadCube』のライブラリをbibファイルに書き出してインポートすれば良し。pdfファイルは読むときに適宜ダウンロードして紐づけすればOK。もしくは元々あるpdf群をそのまま追加して後からメタ情報追加でもよい。

上のブログに書いてある設定を使えば異なる端末上で同一のpdfを扱えるのが良い。

普段の使い方は、

例えば新着論文だったらarXivのnew listの気になるものを、昔の論文ならINSPIREで探してきてWebクリッパーで書庫に追加すればメタ情報を抽出した後自動でリネームしてDropboxなど好きなオンラインストレージ上のフォルダにpdfを保存までやってくれる。 後は各端末で読んでアノテーションを付けたり。 

因みに『Zotero』では書庫に自分でノートを追加出来るので読んだ論文のメモやタブレットで書いた手書きノートなども一緒に紐づけてくれるので捗りそう。

というわけで暫くはこんな感じで運用しようと思う。

ラブライブ!コラボキャンペーン

*1:web版ならその場で読めます

*2:雑に言うとpdfの紐づけの仕方が求めること1.のように出来ない