Nmoominのブログ

日々の記録を主に

文献管理ソフト『Zotero』とiPadの連携を考える。

さて、前回の記事で文献管理ソフトをZoteroに移行したわけだが、この二ヶ月のところ特に問題なく運用出来ている。

さて、現在自分の論文周りの環境は以下の通り

  • (家)デスクトップPC-論文収集、サーベイ
  • XPS13-同上
  • デジタルペーパー DPT-S1-論文精読用
  • iPad(2018)-論文流し読み、メモ書き用

DPT-S1とiPadの使い分けが難しいところだがあまり突っ込んではいけない。

まず全ての環境で論文のpdfを同期したいため、クラウドサービスとしてBoxを使う1Zoteroとの連携については一つ前の記事を参照。

nmoomin.hatenablog.jp

これでおしまい、といけばいいのだが残念ながらZoteroにはiPad向けの公式アプリが提供されていない。のでこの代替手段を考えなくてはいけない。

一応、Zotero対応を謳うアプリとして『PaperShip for Mendeley & Zotero』があるが、このアプリをZoteroで使うとクラウドとの同期で問題が起こることが分かっている。(参考URL:ちゃんと使えるような名前を付けておいて使えないとはなんともヒドイ。)

PaperShip for Mendeley & Zotero

PaperShip for Mendeley & Zotero

  • Shazino
  • 仕事効率化
  • 無料

じゃあどうするかというと、今論文のpdfは全部Boxで管理していることを思い返せばBoxのアプリを使うのが一番無難な解決策として浮かぶ。

検索性が落ちるのではないか、と思うかもしれないがpdfの名前を適当にリネームしておけば著者名かタイトルのキーワードで割と対応出来る。

さてiPadでも自分の書庫の論文にアクセスして読めるようになった。最後にせっかくapple pencil対応のiPadを買ったのでこれでガシガシ論文に書き込みを出来るようにしたい。

残念ながらBoxのアプリではpdfの閲覧までは出来るが手書きによるアノテーションには対応していない。

iPad用の主要なノートアプリはクラウドとも連携しているので自分の好きなアプリと連携すればいいが、個人的にはアプリと連携するとノートアプリ上でのpdfが見かけ増えて管理がややこしくなるので却下。(論文pdfと手書きノートは別々に管理したい。後移行したときの整理がめんどい。)

代わりにiOS11で追加された公式のファイル機能を使う。これはクラウドサービスとも連携しているのでBoxとの連携をオンにする。するとBox上のディレクトリがiPad上で見えるようになるし、pdfももちろんapple penを用いてアノテーションを入れることが可能。 なんとも素晴らしいのが、こうしてiPadから論文に入れた書き込みが即同期されるためPCで見ていてもすぐに論文への書き込みが反映される。でこれはzoteroと紐付いているため、PC上でzoteroからpdfにアクセスしても書き込みが反映されているというわけ。素晴らしい。

ちなみにDPT-S1も論文に書き込みが出来るのだが、この時の同期が一方通行という問題点があるので、2つを並行して使うと問題が起こりそうな気がするけどここでは見なかったことにする。SONY頑張ってくれ。

問題点はBoxにフル依存しているためネット環境がないとそもそもファイルにアクセスが出来ないことが、このご時世そんなことにはまぁ滅多にならないので大丈夫であるはず。

こうして頑張ってiPadで論文を読み書きする環境を構築したのだが、個人的にはあの液晶を長時間凝視するのがやっぱりしんどいのでちゃんと読むときはデジタルペーパーを使っているというのが最初に挙げたとおりの現状である。

apple pencilの書き心地は素晴らしいのでメモやノートを取ったり手計算をするのが主なiPadの役割となっている。

おわり。


  1. DPT-S1はクラウドと同期するためにはwebDAVを使わないといけないのでBoxという選択になる。詳細はググれば出てくる。

文献管理ソフトを『Zotero』に移行した

新年度である。

これと言って生活に変化があるわけではないけれども、節目ということで身近なものを見直して部屋の模様替えをしたり寝具を新調した。

同じ様に院生に取って身近な存在である文献管理ソフトだが、環境を変えたいなぁとここ一年くらい思っていたのでこの機会に思い切って移行した。

今まで使っていたのは『ReadCube』で、これも中々使いやすいのだけど細かなところで不便があった。

まず自分が文献管理ソフトに求めることを挙げると、

  1. 文献情報と論文のpdfファイルが紐付けられて、異なる環境でも同じ情報を参照できる
  2. グループ分けやタグを使って論文を分類できる
  3. pdf及びメタ情報の読み取りが容易にできる

ことである。

『ReadCube』を長らく使っていてここが不便だなぁと思ったのは

  • ソフトのビューワーが貧弱(hyper linkが機能しない場合が多い、読み込みが非常に遅い)
  • ソフト付属の論文サーチ機能が微妙(これは主にGoogle scholarのせい)
  • webクリッパーで論文を読み込むときもメタ情報抽出に失敗することが結構起こる

2番目について、ReadCubeのサーチで使えるエンジンはPubMedもしくはGoogle Scholarのみなのだ。自分の専門分野的(数理)にPubMedは使わないし、Google Scholarは目当ての論文をピンポイントに出すのが難しい。INSPIREもしくはarXivから検索できたらめちゃくちゃ便利だったのに。

さらに細かくいうと、webクリッパーで読み取ったpdfは最初クラウド上にいくため読もうと思ったらまたローカルに落としてこないといけないのがだるい。*1

『Mendeley』については、単に文献情報をしまっている書庫としてのみ使うならばまぁまぁ使い勝手が良さそうなものだが*2、書庫の内容が増えると同期が非常に重くなるので使う気になれないのだ。

というわけでどうしたもんかと思って他のソフトを探していて良さそうだなと思ったのが『Zotero』。 Win、MacLinux全てに対応していてサードパーティーのアドオンなどが使えてカスタマイズも効くのも良し。 詳しくは下のブログにとても詳しく紹介してあるので見て下さい。

文献管理ソフト Zotero ~紹介編~

文献管理ソフト Zotero ~ 設定編~

移行も『ReadCube』のライブラリをbibファイルに書き出してインポートすれば良し。pdfファイルは読むときに適宜ダウンロードして紐づけすればOK。もしくは元々あるpdf群をそのまま追加して後からメタ情報追加でもよい。

上のブログに書いてある設定を使えば異なる端末上で同一のpdfを扱えるのが良い。

普段の使い方は、

例えば新着論文だったらarXivのnew listの気になるものを、昔の論文ならINSPIREで探してきてWebクリッパーで書庫に追加すればメタ情報を抽出した後自動でリネームしてDropboxなど好きなオンラインストレージ上のフォルダにpdfを保存までやってくれる。 後は各端末で読んでアノテーションを付けたり。 

因みに『Zotero』では書庫に自分でノートを追加出来るので読んだ論文のメモやタブレットで書いた手書きノートなども一緒に紐づけてくれるので捗りそう。

というわけで暫くはこんな感じで運用しようと思う。

*1:web版ならその場で読めます

*2:雑に言うとpdfの紐づけの仕方が求めること1.のように出来ない

京都・渉成園の梅と桜

先日京都に行ってきた。

 


といっても旅行ではなく出張ではあるが。
余り観光の時間が取れなかったが、帰る前に京都駅周辺でどこか観光できるところということで東本願寺のお隣、渉成園に行ってきた。入場料として500円*1かかる。

庭園自体はこじんまりとしていた回るだけなら30分もかからないだろうか。 

 

その小さな中にも目を引くのは中央に大きく広がる印月池とそこに浮かぶ小島を結ぶ侵雪橋。

 

 

小島から対岸を望んだ景色も水が透き通っていて見事である。

唯一の欠点は、市街地の真ん中にあるため、写真を撮ろうとすると付近のビルがどうしても入り込んでしまうことだ。(これは東京の浜離宮恩賜庭園と似ている。

 

これは橋の上から撮った写真。京都タワーが写り込んでいるが、これはこれでアリ?

 

 

園内には四季折々の花々が彩られ、その変化する景観は「十三景」と呼ばれるそうである。

ここを訪れたのは3月中旬、桜と思われる木々がたくさんあったが、残念ながらまだつぼみのものばかり。

 

 

しかし園内中央部にある傍花亭前の桜だけは見事に咲いていた。

どうやらシュゼンジカンザクラと呼ばれる品種で、早咲きの桜であるらしい。

 

 

 

 

 

他にも園内には梅が綺麗に咲いていた。

 

 

短い観光時間だったが、満足する訪問だった。惜しむらくは桜を愛でるには少しばかり時期が早すぎたことだろう。

 

京都駅からすぐ近くにあるので、もし京都に来てホテルに行くまで/帰りの新幹線までちょっと時間があるようなら是非とも立ち寄るのをオススメする。

 

 

 

 

*1:500円以上の寄付をお願いします、と書いてあるが受付では普通に500円になりますと言われた。それ以上は気持ち、ということなのだろう。

Bobbyの新作バックパックがKickstarterに登場している

 

世界的に流行している新進気鋭のバックパックのブランドにBobbyというものがある。

www.xd-design.com

Kickstarterクラウドファインディングを行って大々的に成功した歴史がある。(現在はAmazon等からも購入が可能

丸みを帯びたデザインと豊富なカラーバリエーションでポップな印象があるが、実はこのバックパックの最大の特徴はAnti-theft、つまり盗難防止のための工夫が随所に盛り込まれている。詳しい機能はホームページを見てもらえば分かるが、これでもかというくらいに盛り込まれたその工夫は例えば海外旅行に行くときに重宝しそうなものばかり。

 

実際、先日海外に行ったときもこのバックパックを背負った旅行者をたくさん見かけたし、日本でもここ半年で背負う人をちらほら見かけるようになった。(爆発的に流行ったせいか、パクリや偽物まがいのものも見かけるけれど

 

そんなBobbyが昨年出した新作がビジネス向けのBobby bizz。無骨だけどスマートで合理的なデザインに一目惚れした自分は即Kickstarterで予約。

 


Bobby Bizz - The Best Anti-Theft briefcase and backpack

 

届いてからずっと愛用しているが、使い勝手にはほぼほぼ満足している。(背負ったまま中身を開くのがちょっと煩わしかったり、意外と容量が少ないのが難点)

 

で大学に行くときには現状ノートPC+トラックパッド+HHKB+デジタルペーパーを持ち歩いている自分としてはもうちょっと容量があって取り出しやすいのがいいなーと感じていた。

 

 

そんなときにBobbyの新作が出るとのニュースが回ってきた。その名もBobby Urban。

www.kickstarter.com

 相変わらずのAnti-Theftに加えて容量も上の取っ手を調整することで22Lから27Lまで対応することができる。そもそもの容量が大きいのでガンガン荷物を入れられるし、ちょっとくらいの旅行ならこれだけで行けそうである。取っ手のところのロック機能も、カフェの椅子などに簡単につけられそうでトイレに行くときに荷物が取られないか余計な心配をすることもなさそう。(Bobby bizzにも同様の機能があるが意外に取り回しが面倒で使っていない。)

 

残念ながら一番安く購入できるSuper Early Birdは瞬殺で売り切れてしまったようだが、次点のEarly Birdは2018年3月13日午後10時半(JST)現在後200弱ほど残っている。

€75かつ送料無料で日本まで送ってくれるので、気になった人はぜひともプレッジしてみてほしい。

Early Birdが売り切れても、Kickstarterなら€80で買えるが一般販売後に日本に輸入しようとすると倍くらいの値段になるので今のうちにプレッジしておくのが良いと思う。

かくいう自分も見つけたその日に注文しました。

 

河瀬直美『光』を見た。

先日、飛行機の中で河瀨直美監督の映画『光』を見る機会があった。

彼女の作品は『萌の朱雀』と『殯の森』を見たことがあるが、どちらも自然や人間どうしの間の撮り方が上手く、お気に入りの作品だったのでそこそこ期待していた。

実際、先述の撮影技巧のみならず俳優の方々の演技が素晴らしく、作品の中に引き込まれた素晴らしい映画だった。


話はこうである。
視覚障碍者のための映画音声ガイドを作成するヒロイン・美佐子がとある映画のガイド作成のための意見交換会で視力を失いつつあるカメラマン・雅哉と出会う。 美佐子の作ったガイドを「これなら、ない方がいい」とバッサリ切り捨てる雅哉に苛立ちながらも徐々に彼に惹かれて始め… 
といった具合だ。

以下にこの作品のどこが良かったかをネタバレ含めて書き留めておく。


まずこの映画が扱う主題の一つである「言葉の力」について。
基本的には美佐子が作った映画ガイドについて視覚障碍者の人たちを招いて意見交換会を繰り返して開きながら話は進んでいく。
雅哉から厳しい言葉を浴びせられる美佐子だが、実際に彼女の作ったガイドは素人目でもあまり上手くないということが分かる。 
このシーンでハッとさせられるのは視覚障碍者の人たちから発せられる台詞の数々。
雅哉から最初に指摘されるのは「このガイド、君の主観だよね」という一言。 
その他にも「ガイドに間が感じられない」、「私達の想像力を信じて欲しい」(これはうろ覚えだ)
など。
最も説得力を持って胸に響いたのは役者の中で一人だけ入っていた実際の視覚障碍者の方の
「自分たちはスクリーンを観ているんじゃない、映画の中に入って、もっと広い世界を感じている」
という台詞。これはしかもアドリブらしい。*1

台詞それ自身だけでも素晴らしいけれど、やはり実際の視覚障碍者の方に言われると言葉の重み、響き方が断然に違う。これはある意味ズルい。
私達は普段言葉を介して意思疎通を図るわけだが、如何に視覚や聴覚といった他の感覚に頼っているかということに気づかせてくれるのである。
この文章もそうであるし、映画や美術、読書など芸術一般の論を説いてみようとしたときに自分の語彙力もしくはそれに付随する想像力の貧困さに悩む自分にとって、彼らの台詞は余りにも瑞々しく、美佐子を通して自分自身への指摘にまさしく感じられるのだ。 


特に良かったシーンの一つはカメラマンの雅哉が美佐子の顔をその大きな手で触り、撫でるシーン。
余りにも生々しく官能的で、性行為の隠喩どころか性行為そのものじゃないか!と思ってしまったほど。と思ったやっぱりそれを意識して撮っていたようである。*2
大成功です、監督。
似たシーンとして新海誠の『言の葉の庭』中に出てくる足の採寸シーンがあるが、こちらは実写の分、よりリアルだった。

続くシーンで、美佐子と雅哉が一緒に思い出の夕日を見に行って彼が大切にしていたカメラを投げ捨て直後にキスする場面。(ポスターでも使われているところ)
かなり大胆で急なシーンだが命よりも大事なカメラを投げ捨てた後に相手を慈しむように、愛おしむようにするキスは光の使い方も相まって非常に情熱的かつ芸術的。そもそもその前に(ある意味で)性行為をしているのでここでのキスは個人的に納得できるし自然だ。


映画の終着点は、劇中で出て来る映画のラストシーンのガイドをどうするのかというところである。
劇中の主人公である老人は消えた妻を追い求めて海岸を歩いて行く。 
そこには大切なものを失ってもなお人は生きていく、生きてなければならないというメッセージが込められているわけだが、そこにカメラを失った雅哉が重なる。 
そうして美佐子が考えついた末にたどり着いた答えが「光」で、話としてよくまとまって出来ているなぁと素直に感心した。


河瀨直美の映画には、画の中の俳優たちがまさに生きているように感じられる魔力のようなものがある。それは彼女独特の撮影哲学や手法に依るところが大きいのだろうし、そういうところが評価されて今までカンヌで多くの賞を受賞しているのだろう。
レビューサイトなどを見て回ると、「眠くなる」「退屈」「人の顔のアップばかり」などとネガティブなものが多く余り人に勧めづらい映画監督の一人であるが、今回の「光」は比較的分かりやすく退屈することなく見れるのではないかと思う。
もし機会があったら是非見て欲しい映画の一つだ。